EPPS-EDC

 我々は電解槽の電流分布解析プログラムを開発し販売してきました。この過程で電気化学分野の解析技術を蓄積 してきました。電解槽の膜厚分布解析プログラムの開発は自動車の開発段階でのボディのつき回り確認を目的に、自動車メーカーで行われてきました。しかし、 電着塗装の反応の複雑性から、機能的に満足できるプログラムの開発は困難でした。
 我々は蓄積した電気化学分野の解析技術の知見を持って、電着塗装の反応機構を分析しました。この結果、塗料の性質を現す新しいパラメータを導入し、電着塗装の通電量と膜厚を関係付ける膜厚計算式を見いだしました。この膜厚計算式を既存の解析プログラム「膜厚案内人」に組み込むことで、電着塗装の膜厚分布解析が可能になりました。
 新規の塗料パラメータは、実験室で簡単な定電圧塗装実験を行い決定します。この塗料パラメータを使って、塗装ラインの被塗物の膜厚分布を求めることができます。
 解析では電着塗装槽内の電流の流れを定常電流場問題に帰着し、支配方程式を決定しました。この方程式を有限要素法(FEM)で解きます。FEMの解法は ICCG法とこれの並列計算版を準備していますので、少ないメモリやHDD容量で大規模問題を効率良く解くことができます。



●解析の適用

被塗物の形状によるつき回りへの影響
塗料パラメータのつき回りへの影響
電着塗装槽の最適化
運転条件の最適化

解析の効果

自動車の開発期間の短縮、コストの削減、品質の向上
塗料の開発期間の短縮、つき回り性の向上
省塗料、エネルギー
生産性、品質の向上

●標準・プリポストプロセッサ

FEMAP
ICEM CFD

●作動環境(PC版推奨環境)

CPU Pentium4以上
メモリ 4GB以上
HDD 100GB以上
グラフィックス Open GL アクセララータ
OS Windows

 ※解析規模により作動環境は大きく異なります。


解析事例の紹介:4枚板つき回り試験ボックス

 塗膜のつき回り性を簡易的に評価する試験器として、4枚板つき回り試験ボックスを使った解析を行いました。 試験ボックスは、中央に穴の開いた3枚の板とその後ろに穴のない1枚の板が間隔20mmで連結し、周囲を完全に絶縁して穴の部分で内部と外部が繋がるよう になっています。このボックスを電着槽に沈め、穴のある面から150mmの位置にアノードを配置しました。電着槽全体の1/2の部分をモデル化し、六面体 でメッシュ分割をして解析を行いました。解析結果は下のアニメーションでご覧下さい。

解析結果のアニメーション

*図をクリックするとアニメーションが見えます

電位分布の時間変化


カソードの電流分布の時間変化


膜厚分布の時間変化-コンタ図


膜厚分布の時間変化-ベクトル図


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